日々の記録。主に沖縄本島、石垣島の野鳥や自然を写真で紹介

2025年11月10日(旧暦では2025年9月21日)

与那国島出張で少しだけ鳥見。 前の年のカンムリカッコウやカラノスリ のような珍鳥を期待しましたが、思うようにはいきませんでした。それでも石垣島ではめったに出会えないマヒワの群れに会えるなど楽しい出張となりました。

ツグミ

今季初のツグミは与那国島での出会いとなりました。

ノビタキ

ノビタキも今季初。同時期に石垣島でも確認されていました。

マヒワ

沖縄本島や与那国島ではよく見るんですが、石垣島ではあまり観察例がないマヒワ。不思議ですね。

タイワンハクセキレイ

タイワンハクセキレイの第1回冬羽。ハクセキレイは今季の八重山では観察例が少ないです。

ノスリ

ノスリの幼鳥が飛来していました。

タゲリ

タゲリも八重山で増えてきました。ほとんどが幼鳥です。

コムシクイ

与那国島も石垣島もこの時季のムシクイはほとんどがコムシクイです。たまにメボソムシクイ、さらに珍しいのがオオムシクイです。

エゾビタキ

石垣島では、ほとんど残っていませんが、与那国島ではこの時季でも結構見るエゾビタキ。例年、そんな感じです。

ツメナガセキレイ

今季のツメナガセキレイは八重山全体でも少ないようです。

チョウゲンボウ

越冬チョウゲンボウもぼちぼち増えてきました。

タシギ

水稲農家が最後の1人となってしまい、田んぼが少ない与那国島ですが、なんとかタシギが残っていました。

Category:野鳥
2025年11月8日(旧暦では2025年9月19日)

カンムリワシが毒を持つオオヒキガエルを食っていました。以下に私が7月19日付の新聞で執筆したカンムリワシの毒耐性に関する記事を転記します。

カンムリワシ秘めた能力偶然の一致

国内では石垣島と西表島のみに生息するカンムリワシは、毒を持つオオヒキガエルを捕食することが知られている。京都大学の戸部有紗氏らの研究チームは、遺伝子解析により毒に対抗する力を持つ可能性があることを明らかにした。カンムリワシは数万年、もしくは数十万年も前から毒への耐性遺伝子変異を持ち続けており、石垣島にオオヒキガエルが導入されるはるか昔から「隠れた能力」として備わっていたことが判明した。研究成果は7月14日付の科学誌「 BMCエコロジー・アンド・エボリューション 」に掲載された。

無症状

オオヒキガエルは1978年ごろ、サトウキビの害虫駆除目的で石垣島に導入された。皮膚から強力な心毒性ステロイド「ブファジエノライド」を分泌し、この毒素は心臓の機能を停止させる作用がある。在来のヘビのサキシママダラが捕食後に死ぬ事例も確認されている。一方、カンムリワシはオオヒキガエルの毒性の強い皮膚を摂食しても無症状で、地元の野鳥観察者らは以前からこの現象に注目していたが、科学的な解明はされていなかった

遺伝子変異か

研究チームは2020年から23年にかけて事故や病気で死んだカンムリワシ計24個体の組織サンプルを解析。毒の標的となる細胞膜でイオン輸送を担う酵素に着目し、毒耐性に関わる重要な部位で「Q111E変異」と呼ばれるアミノ酸の置換を発見した。この変異により、オオヒキガエルの毒素が酵素に結合できず、毒性が無効化される可能性があることが分かった。同様の変異は、ヒキガエルを捕食するヘビや毒のあるチョウを食べる鳥類でも確認されており、系統の異なる生物が異なる場所での進化の過程を経て、最終的に似たような形態や特徴を持つことになる「収束進化」の例と考えられる。

古代からのお守り

驚くべきことに、オオヒキガエルが定着していない西表島のカンムリワシや遠く離れたインドネシア・シムル島のカンムリワシの亜種も同じ耐性遺伝子を持っていた。遺伝子解析の結果、この形質は外来種導入のはるか以前、カンムリワシが種として分化したころから保存されてきたと推定される。京大野生動物研究センターの戸部氏は「カンムリワシの毒耐性は、最近の環境変化への適応ではなく、祖先から受け継いだ古い形質だった。それが偶然にも外来種による生理的影響を軽減することとなった珍しい例だ」と説明する。

他の猛禽類でも

研究では、カンムリワシと近縁のチュウヒワシ属の鳥類でも類似の耐性遺伝子変異を確認。南アフリカのムナグロチュウヒワシは飼育下で有毒なヒキガエルを12カ月間与え続けても健康に異常がなかったとの報告があり、このグループ特有の能力である可能性が高い。一方、日本の小笠原諸島では同じオオヒキガエルをノスリが捕食する例も確認されているが、ノスリの遺伝子には明確な毒耐性変異は見つかっておらず、異なるメカニズムで対処している可能性がある。

保全への新たな視点

今回の研究では、石垣島と西表島のカンムリワシ集団が遺伝的に明確に分化していることも判明。わずか20キロの距離にもかかわらず、両島間での個体の移動はほとんどないことが裏付けられ、研究チームは「西表島と石垣島の個体群は、独立した保全単位と考えられることを示唆している」と説明する。研究は生物の持つ「隠れた能力」が環境変化への対応に重要な役割を果たす可能性を示した。生物多様性保全の新たな視点を提供する重要な成果だが、戸部氏は「外来種を利用しているからといって外来種問題を放置していいことにはならない。カンムリワシが餌にしている時点で生態系に組み込まれつつあり、さらに全体のバランスを破壊する恐れがある」と警鐘も鳴らす。近年、外来種による生態系への影響が世界的な問題となる中、在来種への意外な適応能力に光を当てた今回の発見は、生物の進化の奥深さと保全戦略の複雑さをあらためて浮き彫りにしている。

カンムリワシ

オオヒキガエルを食うカンムリワシ。論文の通り毒は平気なようです。

カンムリワシ

水路で何かを狙っていたカンムリワシ。

シマアカモズ

近くにシマアカモズもいました。

タシギ

田んぼにはタシギの群れ。

Category:野鳥
2025年11月6日(旧暦では2025年9月17日)

2024年9月に名蔵で救護されたカンムリワシが放鳥されました。右の翼と左足を骨折し、口腔からも出血が見られるなどかなりの重症でしたが、1年半におよぶ治療とリハビリを経て、やっと自然に帰ることができました。

識別用に右足には赤に「4」が刻印された足環が装着されています。カンムリワシ保護活動の貴重なデータとなるので、発見した際はお知らせください。

カンムリワシ / 足環・フラッグ付き

リハビリ施設がある石垣やいま村の担当者により放鳥されるカンムリワシ。

カンムリワシ / 足環・フラッグ付き

やっと飛び立ったカンムリワシ。右の翼には少し事故の影響が残っているようで、左の翼に比べると前へ出ないようでしたが飛翔には問題なさそうでした。

Category:野鳥
2025年11月3日(旧暦では2025年9月14日)

久しぶりにズグロチャキンチョウが現れました。1週間ほど前に同じ田んぼで一瞬、確認できた個体と同じかの性が高いです。スズメ数百羽の群れに混じっていました。

イワミセキレイはいつもの林道に登場。今季、6個体目です。この時期の飛来だと越冬の可能性も高いですね。昨年は同所で越冬したイワミセキレイもいました。ただ、越冬モードに入ると林内にいることが多く、観察がしにくくなります。

コムシクイは10月上旬から姿を見せだしています。渡ってきたばかりは数羽の群れでいることが多いですが、現在は島内に分散してそれぞれが小さな縄張りを確保しています。このまま多くの個体が春まで滞在します。4月に入ると再び群れを形成して北上の準備し、さえずる個体も出てきます。

アトリも姿を見せています。スズメの群れにも合流し、田んぼで2期米のもみを食っていました。

カラムクドリはムクドリ主体の数十羽の群れに、ホシムクドリ20羽ほどとともに数羽が混じっていました。島内の越冬カラムクドリ自体の個体数は多く、数十羽の群れも公園などでよく観察されます。

この時期のジシギはタシギがほとんどですが、十数羽の群れの中にチュウジシギが2羽だけいました。2期米の収穫が始まると消えていなくなると思います。ほかのシギはアカアシシギやアオアシシギ、コアオアシシギ、セイタカシギ、タカブシギ、クサシギ、イソシギ、ヒバリシギなどが田んぼに逗留中。

カモも増えてきて、今季初のマガモを観察しました。石垣島や沖縄のマガモは以前はかなり少なかったですが、年々、観察される数が増えているような気がします。

ズグロチャキンチョウ

スズメの群れの中で大きく目立っていたズグロチャキンチョウ。スズメをしょっちゅういじめていました…。

イワミセキレイ

林道のイワミセキレイ。今季も越冬するといいですね。

コムシクイ

農地の林縁部などで地鳴きを聞く機会が増えてきたコムシクイ。木の間を忙しく動き回りながら採餌している姿を観察できます。

コムシクイ

上と同個体。ジシギもいいですが、ムシクイもいいですね。^^

アトリ

米を食うアトリのオス。夏羽から冬羽へ移行中です。

カラムクドリ

島で一番個体数の多いカラムクドリですが、ムクドリ主体の群れには数羽。採餌スタイルが違うので、合流してもすぐに別れて行動しています。

ホシムクドリ

同じ群れいいたホシムクドリ。こちらはムクドリと採餌スタイルが似ているので、長いこと群れを形成しています。

シマアカモズ

雨に降られるシマアカモズ。人通りが多いところにいました。

チュウジシギ

貴重になってきたチュウジシギ。今季は越冬個体が見られるでしょうか。

タシギ

タシギはたくさん滞在。多くの個体が越冬していきます。

コアオアシシギ

冬羽のコアオアシシギ。まもなく2期米収穫で水がなくなるので、シギたちもいなくなると思います。

アカアシシギ

アカアシシギは成鳥、幼鳥が滞在。この個体は、まだ夏羽を残した状態の成鳥。

タカブシギ

タカブシギは数を減らしていますが、まだまだ滞在中。

マガモ

今季初のマガモが飛来。オスの成鳥でした。

カンムリワシ

カンムリワシは林道や田んぼなどによく出ています。こらから3月ぐらいまでは、道路脇にも現れるので運転に注意です。

Category:野鳥
2025年11月1日(旧暦では2025年9月12日)

ソリハシセイタカシギ2羽が数日前から滞在中。クロツラヘラサギとヘラサギの群れやオオソリハシシギ、シマアジは長逗留。越冬組のコガモやハシビロガモもどんどん増えています。

ソリハシセイタカシギ(アボセット)

警戒心ゼロのソリハシセイタカシギは2羽が滞在しています。

クロツラヘラサギ

水路にはクロツラヘラサギ。ナイルティラピアの幼魚を捕獲していました。

クロツラヘラサギ

田んぼではミズアブの幼虫らしきを捕食。こんな小さな餌生物だと相当量が必要ですね。

ヘラサギ

ヘラサギは1羽だけがクロツラヘラサギの群れに交じっていました。

オオソリハシシギ

海岸にはオオソリハシシギが長逗留。

オオソリハシシギ

砂浜の穴にくちばしを突っ込んでは甲殻類を引っ張り出して食っていました。

オオメダイチドリ

オオメダイチドリは冬羽に衣替えして越冬モード。

シロチドリ

繁殖時期はペアのシロチドリも冬場は群れとなって生活しています。

トウネン

トウネンは数羽を確認しました。

タシギ

水路にタシギが単独で。

コガモ / シマアジ / ハシビロガモ

シマアジ、コガモ、ハシビロガモも群れ。石垣島ではシマアジは通過組、コガモとハシビロガモは越冬組です。

カンムリワシ

カンムリワシは成鳥、幼鳥とも見やすくなっています。

Category:野鳥