日々の記録。主に沖縄本島、石垣島の野鳥や自然を写真で紹介

Nov. 8, 2025

カンムリワシが毒を持つオオヒキガエルを食っていました。以下に私が7月19日付の新聞で執筆したカンムリワシの毒耐性に関する記事を転記します。

カンムリワシ秘めた能力偶然の一致

国内では石垣島と西表島のみに生息するカンムリワシは、毒を持つオオヒキガエルを捕食することが知られている。京都大学の戸部有紗氏らの研究チームは、遺伝子解析により毒に対抗する力を持つ可能性があることを明らかにした。カンムリワシは数万年、もしくは数十万年も前から毒への耐性遺伝子変異を持ち続けており、石垣島にオオヒキガエルが導入されるはるか昔から「隠れた能力」として備わっていたことが判明した。研究成果は7月14日付の科学誌「 BMCエコロジー・アンド・エボリューション 」に掲載された。

無症状

オオヒキガエルは1978年ごろ、サトウキビの害虫駆除目的で石垣島に導入された。皮膚から強力な心毒性ステロイド「ブファジエノライド」を分泌し、この毒素は心臓の機能を停止させる作用がある。在来のヘビのサキシママダラが捕食後に死ぬ事例も確認されている。一方、カンムリワシはオオヒキガエルの毒性の強い皮膚を摂食しても無症状で、地元の野鳥観察者らは以前からこの現象に注目していたが、科学的な解明はされていなかった

遺伝子変異か

研究チームは2020年から23年にかけて事故や病気で死んだカンムリワシ計24個体の組織サンプルを解析。毒の標的となる細胞膜でイオン輸送を担う酵素に着目し、毒耐性に関わる重要な部位で「Q111E変異」と呼ばれるアミノ酸の置換を発見した。この変異により、オオヒキガエルの毒素が酵素に結合できず、毒性が無効化される可能性があることが分かった。同様の変異は、ヒキガエルを捕食するヘビや毒のあるチョウを食べる鳥類でも確認されており、系統の異なる生物が異なる場所での進化の過程を経て、最終的に似たような形態や特徴を持つことになる「収束進化」の例と考えられる。

古代からのお守り

驚くべきことに、オオヒキガエルが定着していない西表島のカンムリワシや遠く離れたインドネシア・シムル島のカンムリワシの亜種も同じ耐性遺伝子を持っていた。遺伝子解析の結果、この形質は外来種導入のはるか以前、カンムリワシが種として分化したころから保存されてきたと推定される。京大野生動物研究センターの戸部氏は「カンムリワシの毒耐性は、最近の環境変化への適応ではなく、祖先から受け継いだ古い形質だった。それが偶然にも外来種による生理的影響を軽減することとなった珍しい例だ」と説明する。

他の猛禽類でも

研究では、カンムリワシと近縁のチュウヒワシ属の鳥類でも類似の耐性遺伝子変異を確認。南アフリカのムナグロチュウヒワシは飼育下で有毒なヒキガエルを12カ月間与え続けても健康に異常がなかったとの報告があり、このグループ特有の能力である可能性が高い。一方、日本の小笠原諸島では同じオオヒキガエルをノスリが捕食する例も確認されているが、ノスリの遺伝子には明確な毒耐性変異は見つかっておらず、異なるメカニズムで対処している可能性がある。

保全への新たな視点

今回の研究では、石垣島と西表島のカンムリワシ集団が遺伝的に明確に分化していることも判明。わずか20キロの距離にもかかわらず、両島間での個体の移動はほとんどないことが裏付けられ、研究チームは「西表島と石垣島の個体群は、独立した保全単位と考えられることを示唆している」と説明する。研究は生物の持つ「隠れた能力」が環境変化への対応に重要な役割を果たす可能性を示した。生物多様性保全の新たな視点を提供する重要な成果だが、戸部氏は「外来種を利用しているからといって外来種問題を放置していいことにはならない。カンムリワシが餌にしている時点で生態系に組み込まれつつあり、さらに全体のバランスを破壊する恐れがある」と警鐘も鳴らす。近年、外来種による生態系への影響が世界的な問題となる中、在来種への意外な適応能力に光を当てた今回の発見は、生物の進化の奥深さと保全戦略の複雑さをあらためて浮き彫りにしている。

オオヒキガエルを食うカンムリワシ。論文の通り毒は平気なようです。

Nov. 6, 2025

2024年9月に名蔵で救護されたカンムリワシが放鳥されました。右の翼と左足を骨折し、口腔からも出血が見られるなどかなりの重症でしたが、1年半におよぶ治療とリハビリを経て、やっと自然に帰ることができました。

識別用に右足には赤に「4」が刻印された足環が装着されています。カンムリワシ保護活動の貴重なデータとなるので、発見した際はお知らせください。

リハビリ施設がある石垣やいま村の担当者により放鳥されるカンムリワシ。

Nov. 3, 2025

久しぶりにズグロチャキンチョウが現れました。1週間ほど前に同じ田んぼで一瞬、確認できた個体と同じかの性が高いです。スズメ数百羽の群れに混じっていました。

イワミセキレイはいつもの林道に登場。今季、6個体目です。この時期の飛来だと越冬の可能性も高いですね。昨年は同所で越冬したイワミセキレイもいました。ただ、越冬モードに入ると林内にいることが多く、観察がしにくくなります。

コムシクイは10月上旬から姿を見せだしています。渡ってきたばかりは数羽の群れでいることが多いですが、現在は島内に分散してそれぞれが小さな縄張りを確保しています。このまま多くの個体が春まで滞在します。4月に入ると再び群れを形成して北上の準備し、さえずる個体も出てきます。

アトリも姿を見せています。スズメの群れにも合流し、田んぼで2期米のもみを食っていました。

カラムクドリはムクドリ主体の数十羽の群れに、ホシムクドリ20羽ほどとともに数羽が混じっていました。島内の越冬カラムクドリ自体の個体数は多く、数十羽の群れも公園などでよく観察されます。

この時期のジシギはタシギがほとんどですが、十数羽の群れの中にチュウジシギが2羽だけいました。2期米の収穫が始まると消えていなくなると思います。ほかのシギはアカアシシギやアオアシシギ、コアオアシシギ、セイタカシギ、タカブシギ、クサシギ、イソシギ、ヒバリシギなどが田んぼに逗留中。

カモも増えてきて、今季初のマガモを観察しました。石垣島や沖縄のマガモは以前はかなり少なかったですが、年々、観察される数が増えているような気がします。

スズメの群れの中で大きく目立っていたズグロチャキンチョウ。スズメをしょっちゅういじめていました…。

Nov. 1, 2025

ソリハシセイタカシギ2羽が数日前から滞在中。クロツラヘラサギとヘラサギの群れやオオソリハシシギ、シマアジは長逗留。越冬組のコガモやハシビロガモもどんどん増えています。

警戒心ゼロのソリハシセイタカシギは2羽が滞在しています。

Oct. 22, 2025

ベニバトは各地に入りました。島内で一番大きな群れは9羽でオスとメスは半々でした。

越冬チョウゲンボウも増えだし、近くの水場にはカイツブリやオオバンが増えていました。こちらも石垣島で越冬していきます。

カンムリワシは子育てが終わり、田んぼなどひらけた環境で見いやすくなってきました。

ベニバトのオス。荒天続きで疲れた様子。

Sept. 11, 2025

親離れも近くなり、カンムリワシの幼鳥がだんだん観察しやすくなってきました。石垣島内でも複数の幼鳥が確認されています。今季は台風もなく、繁殖成績が良さそうなので、何個体がカウントされるのか楽しみです。

先日のタマシギは1羽のヒナが巣内で死んでしまいましたが、生き残ったヒナは親鳥と元気に過ごしています。ネコ、カラス、カタグロトビと天敵は多いですが無事に育つといいですね。

カンムリワシの幼鳥。側溝に何か見つけると飛びかかり、自分で狩りの練習もしていました。

May 13, 2025

例年、6月に飛来することが多いレンカクですが、今季は少し早めの確認となりました。カラスに対して警戒心の強い個体で、カラスが近くを通過するたびに飛んで逃げていました。

野球場のズグロミゾゴイは獲物を捕まえるたびに、カンムリワシの若い個体に横取りされていました。場所を変えればいいものの、餌場として執着しているようでズグロミゾゴイのカップルは高頻度で横取りされてもこりずに採餌していました。

カラスに驚いて飛び上がったレンカク。第1回夏羽の若い個体のようでした。

May 10, 2025

衰弱しているところを保護されたカンムリワシの幼鳥が放鳥されました。4月8日の救護以来、約1カ月ぶりの野生復帰です。

発見者により「ようちゃん」の愛称が与えられ、左足には識別用の「5」が刻印されたシルバーの足環が装着されています。保護活動の重要な基礎データとなるので、発見した方は一報を。

担当者に抱かれたカンムリワシ。西表島在住のデザイナー「しまのなかま from IRIOMOTE」さんのTシャツがおしゃれです。

May 8, 2025

今季もゴールデンウイークに合わせてオウチュウがやって来ました。石垣島の春は、たいていこの時季に飛来します。枝先に止まり、トンボやアブを見つけると空中で捕まえていました。

アカショウビンやカンムリワシ、アカガシラサギなども観察しました。

細い枝先に止まって獲物を待ち構えるオウチュウ。

April 7, 2025

繁殖シーズン序盤のカンムリワシは活発です。天気がいい日は、上空でディスプレイ飛行したり、鳴き交わす声が聞こえてきます。幼鳥たちは気の立った成鳥にやられないように、目立たない行動を心がけないといけません。

越冬のチュウヒとサシバはまだ残っていますが、まもなく北上していくと思われます。

昨年生まれのカンムリワシの幼鳥。年末ごろからこの辺りを縄張りにしている。たまに成鳥に追われているけど、しばらくすると戻ってくる強気な個体。^^

March 26, 2025

3月も終盤となり、カップルのカンムリワシを見る機会が増えて来ました。活発に動き回る季節で、カンムリワシの交通事故も多くなります。ムラサキサギも婚姻色が出だしている個体が増えてきました。

春の渡りも徐々に進んでいます。シギが少しずつ増え、移動中と思われるツメナガセキレイの大群にも遭遇しました。

カンムリワシのペア。左がオス個体。このペアの住むエリアは圃場に囲まれているので、交通事故の心配はなさそうです。

March 10, 2025

3月上旬の石垣島は、カンムリワシの活動が繁殖のために澎湃としいます。天気がいいと、ディスプレイ飛行などを見ることもできます。ズグロミゾゴイも繁殖期に入りつつあり、婚姻色で少しずつ色づいて来ています。

アトリやシマアジ、タカブシギ、アオアシシギの北帰行組も到着しています。

いつもの縄張りで悠然と獲物を待ち伏せるカンムリワシ。

Jan. 10, 2025

公園で弁当を食べていたらズグロミゾゴイの幼鳥が近づいてきました。餌付けをされているわけではなく、たまたま近寄っただけのようでした。それにしてもズグロミゾゴイの幼鳥の警戒心のなさは心配になる…。

田んぼにはアカガシラサギが3羽ほど越冬中。水路に降りたり、草むらに入ったりとさまざまな環境で餌をとっているようです。

昨年の11月に放鳥されたカンムリワシの幼鳥の「はやて」を久しぶりに確認。放鳥地点から直線距離で10キロ以上も南下してきていました。市街地に近く、交通量が多いので事故に遭わないか心配です。

ズグロミゾゴイの幼鳥。昨年、生まれたので成鳥の羽衣に変わりつつあります。

Jan. 8, 2025

昨年末から滞在しているオオノスリは2個体とも幼鳥ということもあって、警戒心がそれほど強くなく観察できる機会は多いです。農地にいない時は山裾のお気に入りの木に止まっていることが多いです。

カンムリワシh幼鳥、成鳥とも見やすくなっています。寒い日が続くと獲物が獲りにくくなり、幼鳥の元気がなくなるので心配です。

水路のそばの枝に止まり、オオバンを狙うオオノスリ。この後、急降下で水路に飛び込みましたが、狩りには失敗していました。

Dec. 14, 2024

カタグロトビの幼鳥は、最近になってやっと独り立ちしたようです。石垣島のカタグロトビは、年に何回も繁殖するので生息数がどんどん増えています。昨年も越冬したハヤブサのペアが今年も同じ場所に訪れました。同じエリアにはオオノスリもおり、オオバンやサギたちは戦々恐々です。近くにいたカンムリワシの幼鳥はハヤブサの2羽に追い回されて驚いているようでした。

コハクチョウ2羽も引き続き滞在。タゲリは幼鳥ばかり10羽ほどが飛来。田んぼは、コアオアシシギやアオアシシギ、アカアシシギ、タカブシギ、ハシビロガモ、コガモなどでにぎやかです。今季初のキンクロハジロも確認しました。

警戒心ゼロのカタグロトビ幼鳥。場所や時期的に以前、空中で 親鳥から給餌を受けていた個体 かもしれません。

Dec. 13, 2024

ソリハシセイタカシギ3羽が数日前から滞在中。ほかでも単独で見つかっていますので、もしかしたら、 11月に11羽で飛来した群れ が分散したのかもしれません。

今季初のオグロシギがやってきました。田んぼにはアオアシシギやイソシギ、クサシギ、ハマシギ、タシギ、セイタカシギ、アカアシシギ、タカブシギなども越冬中です。

来島者を喜ばせているソリハシセイタカシギ3羽。

Dec. 6, 2024

10月21日に交通事故に遭って保護されたカンムリワシが無事に放鳥されました。10年ほど前から浦田原を縄張りにして継続観察されている個体で右目にシミがあることから「ポイント」の愛称で親しまれていたメスの個体です。繁殖も数年前から確認されています。

今回の救護で右足に「6」と刻まれた黒い足環を個体識別用に装着されました。発見した方はお知らせください。関係機関に報告いたします。

飛ぶ気満々のポイント。

Nov. 26, 2024

コウノトリを見ているとタカサゴクロサギが飛んだのが目に入ったので、着地点を探してみるとヒメクイナが出てきました。^^; 警戒心が強い個体で何かに驚くとすぐに草むらに入っていました。環境はいいので、長居してくれるかもしれません。

コウノトリは標識付きの個体でした。識別番号は「J0701」で今年の3月31日に福井県小浜市で生まれたようです。1週間前には鹿児島県の南さつま市でも観察されている個体でした。石垣島には数日、滞在し、西表島に渡って行きました。

ソリハシセイタカシギは2羽が滞在中。 11月6日に11羽の群れ でやってきた一部なのかは不明。

カンムリワシの幼鳥に出会う機会が増えました。この日は、以前から確認されている「No.7」と新規の個体を発見しました。水稲の2期作の刈り取り作業が始まり、カンムリワシの観察いやすい季節になってきました。今季のサトウキビの収穫は12月6日ごろからスタートする予定です。

今季初のオカヨシガモとタイワンハクセキレイを確認。

ヒメクイナの成鳥。警戒心は強そうでした。

Nov. 24, 2024

10月28日に保護されたカンムリワシ幼鳥が放鳥されました。骨折などもなかったことから救護から1カ月たたずして自然に返すことができました。狭い石垣島、安全な速度で運転を。

交通事故で脳震盪を起こしているところを見つけた地域の人により「はやて」と名付けられたカンムリワシの幼鳥。

Oct. 4, 2024

数日前から草むらからの鳴き声を確認していたセジロタヒバリがやっと撮影できました。

ムネアカタヒバリも大量に到着しているので、探し出すのは根気のいる作業でしたが、鳴き声を頼りに待っていると雨上がりのあぜにひょっこりと出てきました。狙い通りに見られるとうれしさも格別ですね。^^

アカハラダカの渡りは9月初旬から始まっていますが、最近は台風の影響で悪天候が続き、石垣島で滞在する個体が目立ちます。多い時は電線に3羽ほど止まっていました。天気が回復したら一気に渡っていくことでしょう。

渡り途中のエゾビタキや越冬組のコムシクイなども増えています。コムクドリは500羽ほどの大群が市街地の公園などを移動していました。

セジロタヒバリ第1回冬羽。