日々の記録。主に沖縄本島、石垣島の野鳥や自然を写真で紹介

2025年11月10日

与那国島出張で少しだけ鳥見。 前の年のカンムリカッコウやカラノスリ のような珍鳥を期待しましたが、思うようにはいきませんでした。それでも石垣島ではめったに出会えないマヒワの群れに会えるなど楽しい出張となりました。

今季初のツグミは与那国島での出会いとなりました。

2025年11月8日

カンムリワシが毒を持つオオヒキガエルを食っていました。以下に私が7月19日付の新聞で執筆したカンムリワシの毒耐性に関する記事を転記します。

カンムリワシ秘めた能力偶然の一致

国内では石垣島と西表島のみに生息するカンムリワシは、毒を持つオオヒキガエルを捕食することが知られている。京都大学の戸部有紗氏らの研究チームは、遺伝子解析により毒に対抗する力を持つ可能性があることを明らかにした。カンムリワシは数万年、もしくは数十万年も前から毒への耐性遺伝子変異を持ち続けており、石垣島にオオヒキガエルが導入されるはるか昔から「隠れた能力」として備わっていたことが判明した。研究成果は7月14日付の科学誌「 BMCエコロジー・アンド・エボリューション 」に掲載された。

無症状

オオヒキガエルは1978年ごろ、サトウキビの害虫駆除目的で石垣島に導入された。皮膚から強力な心毒性ステロイド「ブファジエノライド」を分泌し、この毒素は心臓の機能を停止させる作用がある。在来のヘビのサキシママダラが捕食後に死ぬ事例も確認されている。一方、カンムリワシはオオヒキガエルの毒性の強い皮膚を摂食しても無症状で、地元の野鳥観察者らは以前からこの現象に注目していたが、科学的な解明はされていなかった

遺伝子変異か

研究チームは2020年から23年にかけて事故や病気で死んだカンムリワシ計24個体の組織サンプルを解析。毒の標的となる細胞膜でイオン輸送を担う酵素に着目し、毒耐性に関わる重要な部位で「Q111E変異」と呼ばれるアミノ酸の置換を発見した。この変異により、オオヒキガエルの毒素が酵素に結合できず、毒性が無効化される可能性があることが分かった。同様の変異は、ヒキガエルを捕食するヘビや毒のあるチョウを食べる鳥類でも確認されており、系統の異なる生物が異なる場所での進化の過程を経て、最終的に似たような形態や特徴を持つことになる「収束進化」の例と考えられる。

古代からのお守り

驚くべきことに、オオヒキガエルが定着していない西表島のカンムリワシや遠く離れたインドネシア・シムル島のカンムリワシの亜種も同じ耐性遺伝子を持っていた。遺伝子解析の結果、この形質は外来種導入のはるか以前、カンムリワシが種として分化したころから保存されてきたと推定される。京大野生動物研究センターの戸部氏は「カンムリワシの毒耐性は、最近の環境変化への適応ではなく、祖先から受け継いだ古い形質だった。それが偶然にも外来種による生理的影響を軽減することとなった珍しい例だ」と説明する。

他の猛禽類でも

研究では、カンムリワシと近縁のチュウヒワシ属の鳥類でも類似の耐性遺伝子変異を確認。南アフリカのムナグロチュウヒワシは飼育下で有毒なヒキガエルを12カ月間与え続けても健康に異常がなかったとの報告があり、このグループ特有の能力である可能性が高い。一方、日本の小笠原諸島では同じオオヒキガエルをノスリが捕食する例も確認されているが、ノスリの遺伝子には明確な毒耐性変異は見つかっておらず、異なるメカニズムで対処している可能性がある。

保全への新たな視点

今回の研究では、石垣島と西表島のカンムリワシ集団が遺伝的に明確に分化していることも判明。わずか20キロの距離にもかかわらず、両島間での個体の移動はほとんどないことが裏付けられ、研究チームは「西表島と石垣島の個体群は、独立した保全単位と考えられることを示唆している」と説明する。研究は生物の持つ「隠れた能力」が環境変化への対応に重要な役割を果たす可能性を示した。生物多様性保全の新たな視点を提供する重要な成果だが、戸部氏は「外来種を利用しているからといって外来種問題を放置していいことにはならない。カンムリワシが餌にしている時点で生態系に組み込まれつつあり、さらに全体のバランスを破壊する恐れがある」と警鐘も鳴らす。近年、外来種による生態系への影響が世界的な問題となる中、在来種への意外な適応能力に光を当てた今回の発見は、生物の進化の奥深さと保全戦略の複雑さをあらためて浮き彫りにしている。

オオヒキガエルを食うカンムリワシ。論文の通り毒は平気なようです。

2025年11月6日

2024年9月に名蔵で救護されたカンムリワシが放鳥されました。右の翼と左足を骨折し、口腔からも出血が見られるなどかなりの重症でしたが、1年半におよぶ治療とリハビリを経て、やっと自然に帰ることができました。

識別用に右足には赤に「4」が刻印された足環が装着されています。カンムリワシ保護活動の貴重なデータとなるので、発見した際はお知らせください。

リハビリ施設がある石垣やいま村の担当者により放鳥されるカンムリワシ。

2025年11月3日

久しぶりにズグロチャキンチョウが現れました。1週間ほど前に同じ田んぼで一瞬、確認できた個体と同じかの性が高いです。スズメ数百羽の群れに混じっていました。

イワミセキレイはいつもの林道に登場。今季、6個体目です。この時期の飛来だと越冬の可能性も高いですね。昨年は同所で越冬したイワミセキレイもいました。ただ、越冬モードに入ると林内にいることが多く、観察がしにくくなります。

コムシクイは10月上旬から姿を見せだしています。渡ってきたばかりは数羽の群れでいることが多いですが、現在は島内に分散してそれぞれが小さな縄張りを確保しています。このまま多くの個体が春まで滞在します。4月に入ると再び群れを形成して北上の準備し、さえずる個体も出てきます。

アトリも姿を見せています。スズメの群れにも合流し、田んぼで2期米のもみを食っていました。

カラムクドリはムクドリ主体の数十羽の群れに、ホシムクドリ20羽ほどとともに数羽が混じっていました。島内の越冬カラムクドリ自体の個体数は多く、数十羽の群れも公園などでよく観察されます。

この時期のジシギはタシギがほとんどですが、十数羽の群れの中にチュウジシギが2羽だけいました。2期米の収穫が始まると消えていなくなると思います。ほかのシギはアカアシシギやアオアシシギ、コアオアシシギ、セイタカシギ、タカブシギ、クサシギ、イソシギ、ヒバリシギなどが田んぼに逗留中。

カモも増えてきて、今季初のマガモを観察しました。石垣島や沖縄のマガモは以前はかなり少なかったですが、年々、観察される数が増えているような気がします。

スズメの群れの中で大きく目立っていたズグロチャキンチョウ。スズメをしょっちゅういじめていました…。

2025年11月1日

ソリハシセイタカシギ2羽が数日前から滞在中。クロツラヘラサギとヘラサギの群れやオオソリハシシギ、シマアジは長逗留。越冬組のコガモやハシビロガモもどんどん増えています。

警戒心ゼロのソリハシセイタカシギは2羽が滞在しています。

2025年10月25日

今季もセジロタヒバリが複数、飛来しました。 昨年はムネアカタヒバリの群れの中に2羽を確認 。今回は頭上を飛ぶ鳴き声でセジロタヒバリの存在に気づき、5羽の群れが田んぼに降りたところを探索したところ2羽の姿を確認することができました。^^

セジロタヒバリを探しているとクイナも登場。警戒心が強く短時間の邂逅でしたがうれしいですね。

カモは数、種類とも増えつつあり、この日はハシビロガモを今季初確認しました。カモたちがやって来るころになるとジシギはハリオシギ、チュウジシギとも渡去してしまい、タシギだけがたくさん残っています。

7月下旬に飛来したジャワアカガシラサギはまだ滞在していました。多いときは3羽いましたが、今は1羽だけのようです。越冬モードなので来年2月ごろまでは滞在すると思います。

このほか、アオジとヨシゴイを確認。ソリハシセイタカシギは、友人の勤める施設の敷地内に入ったそうです。

今季も見られたセジロタヒバリ。

2025年10月22日

ベニバトは各地に入りました。島内で一番大きな群れは9羽でオスとメスは半々でした。

越冬チョウゲンボウも増えだし、近くの水場にはカイツブリやオオバンが増えていました。こちらも石垣島で越冬していきます。

カンムリワシは子育てが終わり、田んぼなどひらけた環境で見いやすくなってきました。

ベニバトのオス。荒天続きで疲れた様子。

2025年10月18日

石垣島にもカモたちが到着しだしました。初陣のコガモ、シマアジが増えだしています。今季初のキンクロハジロも農地の排水路に入っていました。

田んぼのジシギはタシギだけになり、セイタカシギやアオアシシギ、コアオアシシギ、ヒバリシギ、タカブシギ、クサシギ、イソシギあたりが滞在中。ツメナガセキレイはあちこちにいますが、数はそれほど増えません。暑さのせいで移動が遅れているのでしょうか?

自宅近くの河川ではクロハラアジサシが長逗留中です。

シマアジのオス幼鳥。警戒心は弱めでした。

2025年10月16日

ハリオシギはすっかり減ってしまいタシギだらけになっています。チュウジシギは少し残っています。 秋の渡りのハリオシギの終認は、昨年は10月18日 でした。今季はいつまで見られるでしょうか。2024年は越冬ではないと思われますが、 2月にハリオシギ、チュウジシギを確認 しています。鬼に笑われますが、2026年は越冬個体を見たいですね。

昨日に続き見に行ったサシバは低調でした。前日に渡り切ってしまった感じです…。^^; この時季は日課のジシギ観察があるので、アカハラダカ、サシバともになかなか渡りを見に行けません…。

ハリオシギ幼鳥。これが今季最後のハリオシギになるかもしれませんね。

2025年10月15日

ムネアカタヒバリ、コムシクイを今季初撮影。数日前から姿や鳴き声で渡ってきていることは確認していました。

サシバはこの日、過去最高記録となる8500以上がカウントされましたが、仕事の合間に到着した時はすでにピークが終わっており、200ぐらいのカウントで終わりました…。

ムネアカタヒバリは10羽程度の小さな群れが飛来。タヒバリも1羽か2羽混じっていましたが写真は撮れず。

2025年9月28日

今季も石垣島ジシギ合宿を開催しました。おかげさまで、5シーズン連続の実施となりました。今回は1人の参加。朝9時に集合して、午後4時ごろまでジシギを見まくりました。

例年より1カ月ほど遅い開催となったのでハリオシギの個体数が少なく、数十羽見た中で2個体のみでした。一番多いのがチュウジシギでピークを迎えているので幼鳥ばかり。タシギは成鳥に続き、幼鳥が入りだし、これからピークを迎えます。

過去の石垣島ジシギ合宿 の模様もご覧ください。次回は来年の春に開催予定です。ハリオシギ、チュウジシギの識別力を高めるため、ふるってご参加ください。^^

今季初のキアシシギ幼鳥やオバシギ、オジロトウネン幼鳥が見られました。アオアシシギは幼鳥が増えだしています。ジシギを見ていると久しぶりにヒクイナも現れました。

数十羽のジシギを見続けて、やっと絞り出したハリオシギ。

チュウジシギ10羽程度の群れを見ていると草むらの中にジシギが登場。典型的なハリオシギの幼鳥でしたので尾羽をゲットすべく双眼鏡で追っていると意外と早く水浴びをしてくれました。^^

2025年9月25日

クロハラアジサシは成鳥、幼鳥で構成された10羽ほどの群れが到着。ジシギはタシギが増えて、ハリオシギが減りました。

ほかはヒバリシギやタカブシギ、アオアシシギ、コアオアシシギなどが多数、滞在しています。

クロハラアジサシの幼鳥。台風がないせいか、今季は大群が現れません。

2025年9月24日

9月上旬に現れたハジロコチドリ がまだいました。滞在3週間です。田んぼや海岸など島内を広範囲に移動しているようです。ジャワアカガシラサギも長逗留しています。

今季初となるムナグロの幼鳥も到着。これが現れるとシギ、チドリの渡りは大詰めですね。

ハリオシギ、チュウジシギは滞在組と入れ替わり組で日々増減しています。

まだいたハジロコチドリ。

2025年9月23日

今季初のアオアシシギとエリマキシギの幼鳥が到着しました。そのほか、ハリオシギやチュウジシギ、タシギ、セイタカシギ、ヒバリシギ、トウネン、コアオアシシギなど滞在中です。

今季初のアオアシシギ。

2025年9月20日

キタヤナギムシクイを見ることができた先週 に続いての与那国島出張。今回も仕事の合間に鳥見は忘れません。^^

前回のような特筆する種類は見られませんでしたが、サンコウチョウの小さな群れがあちこちにいるのが印象的でした。もちろんカワリサンコウチョウにも期待しましたが、残念ながらそれらしいのには巡り会えず…。

公園の駐車場脇にサンコウチョウの群れを発見。

2025年9月17日

前日のいつもの田んぼの見回りでは、1羽のみの確認だったハリオシギが増えていました。第2波ではなさそうなので、たまたま草むらなんかに隠れていて見つからなかっただけなのか?

ハリオシギ幼鳥。

2025年9月17日

9月後半ともなるとリュウキュウアカショウビンの数も減りつつあります。と言っても、この日は3カ所で9個体を確認しました。

林道のアカショウビン。警戒心のない個体で数年連続で同じ個体が飛来していると思われます。

2025年9月16日

9月中旬ともなるとハリオシギの個体数が減って、チュウジシギばかりになってきます。この後、ふたたびハリオシギの第2波があると思われます。

トウネンは幼鳥が到着し始めました。ヒバリシギやアオアシシギ、ハマシギ、コトドリなども滞在中です。

この日、唯一のハリオシギは田んぼの一番奥で遠かった…。

2025年9月13日

与那国島出張の隙間時間で鳥見。秋の渡りが本格化しつつある雰囲気を感じながら林道を流していると、鳥が集まるアコウを発見。メジロの群れなどを観察していると黄色いムシクイが視界に飛び込んできました。双眼鏡に入れるとキタヤナギムシクイでした!! 枝から枝へと移動しながら、小さな昆虫などを捕食しているようでした。

ほかにもアカハラダカやブッポウソウ、サメビタキ、コサメビタキ、エゾビタキタシギ、シマアジ、タシギ、カラムクドリなどを初認しました。さすがは与那国島ですね。^^

キタヤナギムシクイ登場。ほかの日本産ムシクイとは明らかに違うので目立ちますね。